軽部学長のきらっとひらめきコラム

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[2016年度]第2回「教養学環について① ―「教養」とはなにか」

2016年6月10日掲出

 皆さん、こんにちは。今日は東京工科大学の大きな特徴のひとつである「教養学環」についてお話ししたいと思います。

 受験生の皆さんは「教養」と聞いてどのような連想をするでしょう。なんとなく「人間教育的なものかな」というように、漠然とした印象を抱いている人も多いのではないでしょうか。  社会人として生きていくうえで、教養は非常に大きな「拠り所」です。たとえば経済はどうなっているか、政治はどうなっているかなど、自分が生きている時代をどう見るか。最近、コンプライアンスという言葉を耳にすることが増えましたが、我々は倫理というものをどう捉え、どのような倫理観を身につけるべきなのか。このような「ものごとの見方」の基礎となるのが教養であり、さらに広い意味で見れば、それは「人生の指針」であるともいえるでしょう。

 しかし1991年に文部科学省が大学設置基準を大幅に改正して以来、多くの国公私立大学が教養学部を廃止しました。本学でも教養科目系の先生方は各学部に属し、大学全体として教養教育の方向性を議論するようなことはありませんでした。私はこうした教養教育の軽視にかねてから疑問を感じていたため、学長に就任して取り組んだ教育改革の一環として、学部を横断して教養教育を専門に行うための組織を作りました。それが2012年度からスタートした「教養学環」です。

「教養学環」という名は、学部横断的に国際的教養を学ぶ、という意味を持っています。科目群は「人文・社会系」「外国語系」「情報・数理・自然科学系」「心身ウェルネスと人間形成」の4分野。先生方は専任で、毎年、教育目標や教育方法などに関してしっかりと議論を行い、見直しをはかっています。そうした授業を通して普遍的な基礎知識や教養を身につけ、時代の変化や社会の変化に柔軟に適応できる人間を育てるのが教育学環の目的です。  また、そこではアクティブ・ラーニングなどの手法も取り入れ、単に与えられた知識を覚えるだけでなく、自分で問題を発見し、解決法を考える「主体的に学ぶ」方法も身につけていきます。このように「教養学環」は、高校までの学びから大学の学びへの橋渡しという重要な意味も持っているのです。

 実は、私立の理工系大学のなかで教養教育専門の組織を持っているのは東京工科大学だけ。「教養学環」は本学における教育の目玉であり、「実学主義」の「主義(イズム)」部分を担う重要な柱のひとつでもあるのです。

 

 この「教養学環」の具体的な教育内容については、次回お話しすることにしましょう。