学長コラム第1回「東京工科大学の将来像 ――学生から選ばれる大学・地域から期待される大学・産業界から注目される大学を目指して」
はじめまして、東京工科大学学長の大山恭弘です。これからこのコラムを通じて、本学の最新情報や教育・研究に関する取り組みなどを伝えていきますので、1年間、どうぞお付き合いください。
4月から新年度が始まり、新鮮な気持ちで日々を過ごしていることと思います。昨年度は、新型コロナウイルス感染症の流行で何かと平常運転ができず、皆さんも不安に思ったり苦労されたりしたことでしょう。
私自身も昨年は、色々な意味で印象深い一年となりました。4月に学長職に就き、八王子と蒲田の2キャンパスにある6学部と4つの大学院研究科を、大学としてひとつの方向にまとめていくという仕事に初めて臨みました。それと同時に新型コロナウイルス感染症対策や遠隔授業への対応、さらには大学の将来を考えるという学長としての重要な仕事にも取り組みました。それらすべてがうまくできたかどうかは別として、まずはそういう仕事があることを認識した1年だったように思います。
新型コロナ対策に関しては、世の中が緊急事態となり、大学も遠隔授業に切り替えましたが、本学の学生はそれに大変うまく対応してくれました。急激な変化のなか、途中で投げ出すことなく、諦めることなくついて来てくれたことを、私はとても嬉しく思っています。もちろん教職員も遠隔授業に対応するため、大変な努力を惜しみませんでした。また、本学は長年、ICT教育に力を注いできており、10年ほど前からe-ラーニング学習プラットフォーム「Moodle」を基本システムに導入していたことも幸いでした。というのも、いざ遠隔授業をするとなったときは、どのツールを使うのか、授業の動画や資料をどう配信するのかといったことから検討しなければなりません。ですが本学では、その際、迷うことなく「Moodle」をベースに使うという選択ができました。また、学生全員がノートパソコン必携だったこともあり、教員も落ち着いて対応できたようです。こうした経験から培ったスキルや知恵は、今後の教育に活かしていきたいと考えています。
それから、大学の将来についても色々と考えています。本学では2019年に、2030年をターゲットにした中長期計画「Evolution2030」をつくり、推し進めています。この計画を要約すると、2030年に向けて「学生から選ばれる大学」「地域から期待される大学」「産業界から注目される大学」になることを目標とし、そのためにどういう改革をすべきか検討して実行するというものです。昨年はその具体策を練り、少なくともこの2021年度に何をすべきかを決めました。
その中でも特に大きい割合を占めるのが、教学マネジメントに関することです。本学の掲げる実学主義教育をさらに充実させるために、学生にどう学びを伝えるか、カリキュラムにどう反映するかです。それをうまく行うには、教員にも学生に対する教え方のトレーニングをする必要があると考えています。というのも従来の教育では、教員は教えるという立場でした。しかし学生を主体とすると、教員はあくまでもファシリテーターであり、学生の学びを補助する立場であるべきではないかと思うからです。そこで2年程前から「先進教育支援センター」を立ち上げ、教員がどのように学生の指導にあたればよいかをサポートできるようにしようと進めています。今後はこうした教育における教員の意識改革も含めて同センターでサポートし、本学ならではの教育方法に発展させていきたいと考えています。
また、大学は教育と研究の両輪で成り立っています。ですから教育だけでなく、研究に取り組むことも大学の重要な役割のひとつです。そこで学内の研究の管理や、他学部の研究室同士が分野を超えて共同で取り組める研究をコーディネートする組織「実践研究支援センター」を今年度中に新たに整備しようと進めています。この話は別の回で詳しく取り上げましょう。
将来に向けて、進化・変革を続けている東京工科大学に、ぜひ期待していてください。