大山学長のホッとブレイク

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学長コラム第11回「東京工科大学のコーオプ教育②――成果と展望」

2022年2月25日掲出

 こんにちは、みなさん、こんにちは。学長の大山です。今回も前回に引き続き、「コーオプ教育」についてお話しします

 前回、紹介したように、本学の八王子キャンパスでは、学内の授業と学外での就業体験型学修を組み合わせた「コーオプ教育」を実施しています。キャンパスのある八王子市には中小企業がたくさんあります。多くの企業に「コーオプ教育」を通じて一緒に学生を育てることに賛同して頂いており、現在、地元企業をはじめ約500社と協定を結んでいます。そのうちの約360社で実際に学生が就業体験をしています。
 就業体験をする学生は2、3年生ですから、企業で即戦力になるわけではありません。ですから企業の方には、あくまでも学修の一環ということで、学生には現場のさまざまな仕事を体験させてほしいとお願いしています。例えば、工学部で機械工学を学んでいるからといって、会社では機械関係の仕事だけをするわけではありません。極端な話、清掃や書類整理など色々な仕事があります。学生は就業に対して給与を得るのですから、お客さん扱いではなく、会社内でのさまざまな仕事を経験させてもらえるようお願いしているのです。
 また、こうした学生の就業体験は、学生が経験を積めるだけでなく、実習先となる企業にも利点があると聞いています。例えば、これまで若手を採用してきておらず、社員の平均年齢が40代以上となっている企業へ学生が行くと、学生を育てることが中堅社員のミッションとなり、若手育成のトレーニングになるそうです。また、若い学生が社内にいると、様々なアイデアを出してくれて、職場に活気が出るという意見も聞いています。企業側からも、そういう利点に目を向けてもらうことで、「コーオプ教育」を続けることができています。そして現在も、学生の教育に協力してくれる企業の輪を広げているところです。
 一方、就業体験を経た学生たちにも、大きな変化が見られます。特に会社で多様な仕事をしたことや色々な年代の人と一緒に働いた経験は、大きいようです。企業には学生の親くらいの年齢の人もいれば、学生より年下の人もいますからね。また、コーオプ実習には大学の単位が付くため、週報、最後のまとめの実習報告書を書いてもらいます。もちろん実習前には、企業マナーなどのトレーニング、実習が終わってからも就業体験を振り返り発表する授業があり、そこには実習先企業を招いています。学生は自分が取り組んだ業務や学んだことについて、人前で発表する経験を積みます。
 私たち教員が最初に感じる学生の変化の一つは、学生から挨拶をするようになることです。コーオプ実習から帰って来てからは、授業に積極的に取り組む傾向も見られます。遅刻も減っていますので、時間を守るという社会的な習慣も身に付いたのだろうと思います。さらに喜ばしいことに、これまでにコーオプ実習先企業に就職した学生もいますし、「あの会社は良かったよ」といった口コミを他の学生が聞くことで、就職先の選択肢になるケースもあります。このように学生と企業の双方に良い結果が出せている点も、広い意味で「コーオプ教育」の効果だと感じています。

 今年度からは工学部だけでなく、メディア学部、コンピュータサイエンス学部、応用生物学部を加えた八王子キャンパス全学部での「コーオプ教育」をスタートさせました。とはいえコロナ禍の影響もあり、工学部では実習期間を短縮したりオンラインでの仕事を組み合わせたり工夫をしながら、何とか実施できました。新たにコーオプ実習を始めた3学部は、選択制で長期休暇を利用した約3週間の期間で実施しています。今後は、もっと参加者を増やしたいですし、工学部のようにコーオプ実習に行く前後の学習やトレーニングもさらに充実させたいと考えています。
 「コーオプ教育」は、自分の専門に関係なく、企業内にある色々な仕事を経験する場です。その経験を大学に持ち帰り、自身の専門にどう活かすかを考える契機にしてほしいと思っています。そういうマインドを学生が持てるよう、これからも「コーオプ教育」を一層拡充していくつもりです。