ヒトの視覚機序に基づいた動体検知デバイスを開発 「三鷹市福祉Laboどんぐり山」と共同実証研究を開始
~プライバシーに配慮した高齢者の見守りなど活用へ~
東京工科大学(東京都八王子市 学長:香川豊)コンピュータサイエンス学部の亀田弘之教授らの研究グループ(注1)は、人間の視覚機序に基づいた動体検知機能により高齢者の見守りなどに活用できるデバイスを開発しました。12月にオープンした在宅医療・介護の推進拠点「三鷹市福祉Laboどんぐり山」(東京都三鷹市)(注2)との共同実証研究を開始いたしました。
【研究背景/目的】
亀田研究室(思考と言語)では、少子高齢社会が進む時代において、人と共生するサービスロボットが重要であると考え実用化に向けた研究を行っています。本研究はその基礎研究の一環として実施するものです。実証研究では、同施設内の協力者を対象に寝室、浴室、トイレなどにおける高齢者の危険予知や事故検知といった、同デバイスの利用場面や方法などの応用について検証を行います。今年度末を目処に報告をまとめ、学会(注3)などで発表する計画です。
【研究内容】
開発したデバイスは、小型コンピュータ「ラズベリーパイ」を用いて人の目の網膜を模した動体検知機構を実装した小型カメラ一体型の装置で、照明機器などに装着が可能です。Webカメラの映像データを暗号化しデバイス内で処理しテキスト情報として出力するため、被介護者らのプライバシーを保護しながら見守りに必要な判断(ベッドからの落下危険性、浴室等での事故、動かないなど異常検出 等)を行うことができます。また人工知能など大掛かりなシステムを使わず少ない計算量で高速に検出処理できるため、汎用性、小型軽量化、省エネルギー性にも優れています。
【今後の展開】
現在、人工筋肉や人工皮膚などロボット本体の研究も視野に入れた学際的連携体制を構築するとともに、病院や工場などでの見守りや事故検知といった他分野への適用も見据え、同施設に加え関連企業などとの連携も図っています。将来的には、聴覚はもとより対話機能などを含めた他者の意図や心を理解しながら人の生活を支援するサービスロボットの実用化を目指します。
【用語解説】
(注1) ティーエムソル株式会社(本社:東京都板橋区、代表取締役:中田敦子)と共同研究
(注2) 高齢者の在宅生活を支援する機能を持つ拠点として三鷹市が2023年12月1日に開設。企業や大学などとの協働により、1.在宅医療・介護研究センター 2. 介護人財育成センター 3.生活リハビリセンターの3つの事業を進める複合拠点施設。
(注3) 電子情報通信学会 総合大会(2024年3月4日~8日、広島大学) ほか
■コンピュータサイエンスWEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html