東京工科大学メディア学部主催 特別シンポジウム「21世紀を切り開く、社会起業家たちの挑戦」の開催 ソーシャルメディアサービスコース 社会起業家教育プログラムのスタート
9月30日にメディア学部主催特別シンポジウム「21世紀を切り開く、社会起業家たちの挑戦」が東京工科大学蒲田キャンパス、片柳記念ホールにて開催されました。”メディア学による社会問題の解決アプローチを探る”をテーマに国内外で活躍するソーシャルアントレプレナー(社会起業家)をゲストに迎えました。
会場には、講演者、大田区、デザイン学部、メディア学部から多くのポスターが設置され、会場は来場者の交流の場としても活用されました。特に大田区からは大田の「地域力」を活かした被災地支援や大田の町工場の挑戦に関するポスターが設置され今後の大学との共同研究に期待が寄せられます。
シンポジウムは、メディア学部飯田仁学部長の講話から開会しました。
飯田学部長からは、東日本大震災後、エネルギー、医療、環境、教育や福祉など様々な分野で革新の必要性が明らかになり、メディアもより良い社会の構築のための技術開発と応用研究が重要となってきています。その上で、メディア学部では、メディアを取り巻く環境の変化に対応し、2012年4月よりあたらな4コース制での教育が展開されており、特に本シンポジウムの企画に携わったソーシャルメディアサービスコースではより豊かな社会を実現するための技術開発やサービスを行うための人材育成に力を入れており、今後、社会起業家の支援と教育を視野に入れたカリキュラムを導入する予定の説明がありました。
基調講演では、メインゲストに、インドで低価格の白内障治療法を確立し、世界的に有名な社会起業家であるデビッド・グリーン氏と、国内で社会起業家教育を主導する慶應義塾大学教授の金子郁容氏を迎えて、起業とビジネスによる社会貢献の実践例と成果を紹介しました。金子氏は、ソーシャルイノベーションの事例と金子氏が近年被災地で実験的に実施している遠隔医療について事例の紹介を取り入れながら分かりやすく説明をしてくださいました。デビッド・グリーン氏は、「人間味のある資本主義」を根底としたソーシャル・ビジネスがどのように成り立つのか、その可能性についてインドにおける白内障治療の成功例を基に説明されました。基調講演後、金子氏とグリーン氏によるディスカッションが打ち解けた雰囲気の中行われ、金子氏が「デビッドさんは学生時代どのような学生でしたか?」など会場の学生が興味を引く質問も投げ掛けられ、それに対しデビッドさんは「普通の学生でした。植物学、宗教学などの興味のある科目ばかり履修していましたよ。」と答えるシーンもあり会場は和やかな雰囲気に包まれました。
パネルディスカッションでは、メディア学部松橋崇史助教の進行の元、スマートフォンやインターネット電話などの新しいメディアを活用することで、フィリピンの貧困問題解決や手話利用者支援で成果を上げる二人の若手社会起業家と、「アショカ東北ユースベンチャー」に参加する高校生達をパネリストにして、その取り組みと、社会起業家教育の発展性についてディスカッションを行いました。
大木洵人氏(株式会社シュアール代表取締役社長)は実際に手話利用者がどのように手話通訳サービスをタブレットPCで遠隔映像を介して利用できるかをデモンストレーションを交えて発表しました。
山田貴子氏(株式会社ワクワーク・イングリッシュ代表取締役)はフィリピンの孤児院にいる子供たちがどのように英会話の教師としてスキルを身につけ、日本にいる子供たちにインターネット電話と映像を使い英会話の授業を行っているのか、ビデオを見せながら紹介しました。
林賢司氏(アショカジャパンプログラムアシスタント事務局)は高校生たちがどのように社会問題と向き合い、未来に向け解決策を模索しているかを説明しました。また、2012年アショカ東北ユースベンチャラーの青島勇太氏は自身の夢を語ってくださいました。
当日は台風に見舞われ、交通機関にも混乱が生じたにも関わらず100名以上の来場者が最後まで参加し無事終了しました。パネリスト、金子郁容氏そしてデビッド・グリーン氏全員が、最後には舞台に上がり、来場者からは鳴りやまない拍手を受け祝福され、感動的な最後になりました。
メディア学部は今回のシンポジウムを皮切りに、社会起業家教育プログラムを本格的に展開していきます。社会起業家教育プログラムは、メディア学部の強みであるコンテンツ制作力を活かした社会的課題の解決方法や、地域振興、震災復興への貢献方法を実践的に学び、それらを事業化できる人材を育成することをめざしています。