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2016年工学部長メッセージ

2016年1月8日掲出

「新しい工学を学び、未来のものづくりを探求しましょう」大山 恭弘

工学部長 大山 恭弘

 こんにちは。あたらしい工学部がスタートしました。

 工学は「ものづくり」のための学問です。これまでの工学は、便利なものをつくる、高機能なものをつくる、速くたくさん安くつくる、ということを追求してきました。その結果、社会は大きく発展し、暮らしはたいへんに豊かになりました。その一方で、資源枯渇問題、地球温暖化問題、環境汚染問題、格差問題など多くの問題も起きてしまったことも事実です。COP21という国際会議において、世界中の人が一緒になって特に気候変動問題について対策を議論したことは、皆さんも知っていると思います。

 これからの工学は、10年後、20年後、100年後という未来を見据えて、持続可能な社会をつくるための工学でなければなりません。東京工科大学の工学部は、機械工学科、電気電子工学科、応用化学科の3つの学科で、このような新しい工学、つまり社会が持続可能で豊かになるためのサステイナブル工学を研究しています。

 では、どんな勉強をするのでしょうか?
最近話題になっている燃料電池自動車を例に考えてみましょう。燃料電池自動車は、水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーを使って、モータを回して走る自動車です。地球温暖化で問題になっている二酸化炭素や有害物質の窒素酸化物を排出しないので、未来の自動車と言われています。燃料電池自動車には、モータや電力制御を中心にした電気電子技術、化学反応を利用した発電や軽い丈夫な素材をつくる応用化学技術、丈夫で安全な構造を考え効率的に車体を製造する機械技術など、3学科で学ぶ基盤技術を含め多くの工学技術が関わっています。でも、作るためにまだまだ多くの化石燃料が使われており、この自動車を使い終わった後のリサイクルや廃棄物の処理など、資源的にも持続可能なものにはなっていません。将来にわたって持続可能なものづくりをするためには、走る時だけでなく、作る時も、使い終わった後もすべての工程、すなわち製品のライフサイクルを考慮したものづくりが大切です。

 このような製品のライフサイクルにおいて、地球、社会、人間へ影響を正確に分析・評価して、ものづくりを考えていく学問がサステイナブル工学です。例えば、自然エネルギーを利用した発電や化石燃料を使わない素材の開発、省エネや資源のリサイクル技術、そのための新しい設計法・生産技術などを開発していくことが重要となるでしょう。

 東京工科大学の工学部では、機械工学科、電気電子工学科、応用化学科でそれぞれの専門知識をしっかりと身に付けたうえで、各分野の知識を総動員し、各分野の技術を合わせた、持続可能な豊かな社会のためのものづくりの技術を学修・研究できます。

 サステイナブル工学は新しい学問分野です。燃料電池自動車の例でわかるように、分野を超えた広い知識と柔軟な考え方が大切です。そのために工学部では、コーオプ教育や世界で活躍するための工学英語教育も取り入れられています。コーオプ教育では、企業で就業体験を行うことにより、サステイナブル工学を実践し、企業での開発問題を大学で研究します。大学の中だけでは学べない工学の実践力と問題解決力を身につけます。

 いろいろなことに積極的にチャレンジする皆さんと一緒に、新しい技術分野を開拓していけることを楽しみにしています。