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2021年医療保健学部長メッセージ

2021年1月8日掲出

「未来を支える、健やかで優しい医療専門職を養成します。」篠原 一彦

医療保健学部 篠原 一彦教授

 受験生のみなさん、医療保健学部長の篠原です。

 世界中に新型コロナウイルスが蔓延したこの一年間、みなさんも大変な思いのなかで受験準備に取り組まれたことでしょう。世界中の医療従事者は、新型コロナウイルスの流行下で懸命の働きを行なっています。本学医療保健学部の卒業生も看護・臨床工学・リハビリテーション・臨床検査などの最前線で活躍中です。

 みなさんは、感染症に直面する医療現場に不安を感じることもあるかもしれません。しかし現代の医療は、「標準予防策:standard precautions」という国際標準として確立した感染予防策のもとに医療行為を行なっています。これは患者さんだけでなく医療従事者自身も感染から守るものです。もちろん私ども医療保健学部の教育でも「標準予防策」の確実な修得下に学内外の実習に臨んでいますのでご安心ください。

 人類は感染症との闘いを繰り返してきました。近代医学の基礎が築かれた19世紀以降もスペイン風邪が大流行し、天然痘やペストにも悩まされました。21世紀になってもSARS(重症急性呼吸器症候群)やエボラ出血熱の流行がありました。これまでの世界的な感染症大流行も一定期間で終息してきたことも事実ですが、現代の人類は感染症の流行終焉まで手をこまねいて待っているのではありません。最先端のバイオテクノロジーや工学技術を駆使した新薬や医療機器開発とともに、データサイエンスや人工知能を、診断・治療から公衆衛生の政策立案にまで活用できるようになりました。

 新型コロナウイルス流行が落ち着く頃には、遺伝子から社会レベルまで世界から収集された膨大なデータを活用した、新しい感染症対策も開発されていると思います。みなさんが医療保健学部を卒業なさる時は、そのような感染症対策の新兵器を携えて、持続可能な未来社会を支える医療従事者として巣立っていくことを確信します。

 2010年開設の医療保健学部も今年は11期生をお迎えすることとなりましたが、絶え間ない改革と進化に努めてきました。2014年の臨床検査学科新設につづき、今春は言語聴覚士を養成する新専攻を開設します。言語聴覚士とは「話す(発声・会話)、聴く(聴覚)、食べる(嚥下)」という人間にとって重要な機能のリハビリテーションを担う医療専門職です。言語聴覚専攻には全国から最高・最強の教員を集めました。加えて本学の臨床工学科やメディア学部などとのコラボレーションにより、言語聴覚を支援する先端医療機器やリハビリテーションシステムの教育と研究が可能です。

 さらにリハビリテーションにおける専門職間の連携を強めるべく、これまでの理学療法士・作業療法士養成学科を、理学療法学専攻・作業療法学専攻・言語聴覚学専攻を擁するリハビリテーション学科として再編成し、多職種連携実践のためのさらなる教育力強化を行ないます。

 設立以来トップクラスの国家試験合格率を誇る看護学科では多くの看護師を輩出するとともに、ものづくりの街「蒲田」にふさわしい産業看護の教育研究・地域連携の実績があります。臨床検査学科は、世界初のバイオセンサー開発などを誇る応用生物学部と手を携えながら今春新設する大学院医療技術研究科での研究も行なえるようになりました。

 新型コロナウイルス患者の救命医療で注目されるECMO(extracorporeal membrane oxygenation:体外式膜型人工肺)をはじめ、人工呼吸器・人工心肺・透析装置などを操作する臨床工学技士。私どもの学園は日本最初の臨床工学技士養成施設です。臨床工学科では、学内に備えた最新の先端医療機器とともにバーチャルリアリティなども活用した教育資源を駆使し、先進医療を支える「命のエンジニア」の養成に邁進します。

 医療保健学部に入学される皆さんには医療専門職としての学修とともに、一般教養科目、サークルやボランティア活動、他領域の学生さんや教員との交流を通じて、幅広い教養と人間性・自律性・協調性を備え、なにより健やかで優しい医療専門職として社会に巣立っていただきます。

 昨年の新型コロナウイルス流行に際しても、私ども医療保健学部は理工系総合大学として培ったICT技術を駆使した遠隔講義を実施することで学修への影響を最小限にするとともに、最大限の感染予防策と安全確認を行いつつ対面式講義や病院実習を再開しました。この春お迎えする新入生の方々にも、新型コロナウイルスの流行状況を踏まえた万全の感染対策下に、蒲田キャンパスと実習施設における安全で実り多い学修と大学生活の環境を整備しております。

 受験生そしてご家族のみなさまのご健康ご自愛を心からお祈りしつつ、みなさんとの“まなび”をお待ちしております。