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2023年メディア学部長メッセージ

2023年1月6日掲出

どんな仕事に就いてもメディア学はきっと役に立ちます 大淵康成

メディア学部 大淵康成 教授

 1999年に日本ではじめてメディア学部を作ったとき、私たちは、「メディア学とは、人から人へいろんなものを伝えるための学問である」と考えました。そして、何を伝えるのか、どうやって伝えるのか、伝えたものをどう活用するのかの3つが重要であるとの考えから、コンテンツ(何を)、技術(どうやって)、社会(どう活用する)の3つのコースを軸にしたカリキュラムを作りました。

 それから二十数年、私たちが大事にしてきたことがもう一つあります。それは、上に挙げた三つのうち、どれか一つだけではなく、三つとも学ぶことが重要だということです。例えば、ゲームを作りたい人は、ただゲームの内容だけを考えていればいいわけではありません。そのゲームを作るためにどんな技術が必要なのか、できたゲームがどのように流通してどこから収益をあげるのか、そうしたことまで考えることが重要です。同じように、広報の仕事に就きたい人は、テレビや雑誌だけではなく、SNSなどの新しいメディアの仕組みや、そこで使われる新しいコンテンツについて学ぶ必要があるでしょう。そんなふうに、メディアに関連する仕事は複雑に関係しあっており、その全体像を理解することこそが、社会で活躍するための条件なのです

 メディア学部の卒業生の就職先は、いわゆる「メディア企業」ばかりではありません。ITや小売、サービスなどの分野に就職する人も大勢います。でもそれは、メディア学部に入学したときの夢をあきらめてしまったということではありません。メディア学部の卒業生たちは、様々な企業で、「メディアを操る能力の高い人」として活躍しています。そんなふうに、入学時に思っていたよりもずっと幅広い世界が皆さんを必要としているということに気付くために、メディア学部のカリキュラムはきっと役立つはずです。

 T型人材という言葉があります。Tの字の横棒のように幅広い分野で一定の知識や技能を持ちつつ、Tの字の縦棒のように特定の分野で深い知識や技能を持つ人のことです。メディア学部の教育は、まさにこのT型人材を育てることを目指しています。1~2年次の教養科目や専門基礎科目の多くでは、Tの字の横棒にあたる、幅広い知識や教養を身に付けることを目標とします。自分の進みたいコースが決まっていても、他のコースに関連する科目も学ぶことで、知識や教養の幅を広げていくことが求められます。一方、入学直後からTの字の縦棒にあたる深い専門知識を得たい場合には、プロジェクト演習という選択科目があり、自分で選んだテーマについてじっくり学ぶことができます。また、1年後期から始まる先端メディア学も、同じく深い専門知識を身に付けるための科目です。そして、3~4年次に進んでいくにつれ、専門的な内容が増え、カリキュラム全体がTの字の縦棒に集約していくようなイメージを持ってもらえば、4年間の学修の様子が把握できるのではないかと思います。

 メディア学部が扱うテーマは、ゲームや音楽、アニメ、プログラミング、ネットワーク、SNS、広告、教育など多岐に渡っています。そうした分野をきっかけにメディア学に興味を持ってもらうのも良いでしょう。でも、そうしたテーマ単体を学ぶのではなく、それをメディア学という枠組みの中で捉えて、どんなコンテンツを、どのような技術を使って伝え、そして社会の中でどんなふうに役立てていくのか、そのような考え方ができる人間として卒業していってほしいと私たちは思っています。そのような考えに共鳴してくれる皆さんと、東京工科大学のキャンパスで共に学ぶことができる日を楽しみにしています。