2023年デザイン学部長メッセージ
「初学から大学で学ぶデザインの力」伊藤 丙雄
こんにちは、デザイン学部長の伊藤丙雄です
見通しが困難な時代だからこそ、豊かな暮らしを目指すデザインが注目されています。そして実現される新しい暮らしは、これからの糧(かて)、モチベーションとなることも分かってきました。
私たちの学部4年間で学ぶデザインの分野は、新しい日常において暮らしに貢献する学問=実学であり、そこで生まれる発想はいつの時代も社会から期待され先駆的な役割を担い続けてきました。
これからのデザインの学びは、多様化する社会における利便性の追求に加え、「安心・安全」という価値を形にするデザインと、内容の「可視化」を目指すことが求められます。
その昔、職能としてデザイナーになるために、生まれ持った芸術的な感覚や予備的な知識、例えばデッサンなどの専門技術の修得が必要、とされてきました。
2010年の学部創設以来、新しいデザイン教育で時代の先駆者輩出を目指す課題、カリキュラムを練磨し続けた結果、初学から4年間の学びで興味関心のある誰もがデザイン表現に必要な「感性」と、感性を発揮する技術を身につける「スキル」を実装することを可能とし、デジタルスキルと感性を融合した高度なコミュニケーション能力を用いて、これからの「デジタル常識を身につけた先駆者」を育てることを実績として可能となったのです。
「今の時代に即した学びにも見えるデザインの力」
13年目を迎えたデザイン学部が、一貫して人の心に響きあう「感性」と、表現に必要な専門的な技術を身につける「スキル」を融合させた実践的なカリキュラムを大切にしてきたのには理由があります。
今日、デザインはアートの範疇ではなく、複雑な問題を分かりやすくする、その解決のために、丁寧な説明と論理的な思考が求められます。
1年次では、教養科目と並行して感性演習とデジタルスキルの演習科目を学び、2年次からは3年次のコース選択の際に指標となる感性演習、専門演習にスキル演習を複数履修することができます。
先進的な学びの実例では、2020年5月末、拡大する新型コロナウイルス感染症予防から全国の大学でもいち早くオンライン授業を開始(一部で録画視聴によるオンデマンド授業)、中でも困難が予想されたデザイン実技の演習系科目では、在宅で制作に取り組める課題を考案、遠隔の特性である動画によるテクニカルな部分の拡大、そして繰り返しの視聴を可能にして理解を補助するなど、制作の前後に予習と復習を効率良く組み込み、今までに全くない高度な演習授業を展開しました。
また全ての授業でノートPCから遠隔で使用できる大学公認の授業用プラットフォーム(Moodle)を活用し、学部の得意とする動画コンテンツで授業を実施、配付されるグラフィカルな資料を入手して、課題を提出するなど、フルに駆使することで、学びの機会を失う事なく今日まで続いています。
(今後も新型コロナウイルス感染症の状況により変わります)
「専攻にあるデザインコースは、これからの持続可能な社会へのアプローチ」
3年次からは視覚、工業デザイン専攻内にある2つの専門コースに分かれます。
『視覚デザイン専攻』には、多くの人々を対象にメッセージを伝えるデザインを追求する「視覚伝達デザインコース」、拡張する情報を整理し可視化、個々にデザイン+テクノロジーで届ける「視覚情報デザインコース」、『工業デザイン専攻』では、新しい空間について先端の技術を駆使しながら考察を深めていく「空間演出デザインコース」、近未来の暮らしをイメージした製品機器などのプランニングを考える「工業ものづくりデザインコース」があります。
「デザインの発想で社会に貢献する」
大学での学びは常に深化しています。最近では通常の課題、研究に加え、学外とのプロジェクトにより社会との接点を求める機会も増え、皆さんは入学後から始まる多種多様な課題に取り組みながら、次第にデザイン表現に必要な発想力を深めることが可能となります。その結果としてすべからく社会の期待に応えられる人材となっていることでしょう。
またデザイン学部では創設以来、デザイナーの育成だけにとどまらず、一般企業の総合職に企画職、営業職から今後注目される新しい職種まで幅広く活躍する人材を輩出してきました。
直近の就職率では98.13%という、国内のデザイン系学部・学科において突出した数字となりました。大学院デザイン研究科への進学も含め、出身者は今日のあらゆる場面で活躍をしています。
入学を希望される皆さんがこのデザイン学部の先駆的な教育方針に賛同していただき、これからの4年間を過ごす「仲間」になってもらえることを心から願っております。