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松井 毅応用生物学部教授が株式会社ポーラの新商品開発に研究協力

 
2024年11月22日掲出

松井 毅教授

 本学応用生物学部化粧品コースの松井毅教授が、株式会社ポーラと共同で新商品「フロムロストゥービューティー ボディシャワーシロップ(ボディソープ)」の開発に向けた研究に協力しました。本研究は、高知県、株式会社ポーラ、株式会社ファーメンステーション、ゆずの産地と本学が産官学連携し、未利用資源「さのう」(果実の搾汁後に残る部分)の有効活用を目指したものです。


フロムロストゥービューティー ボディシャワーシロップ

フロムロストゥービューティー ボディシャワーシロップ

【研究の背景】
 このプロジェクトでは、高知県が新事業創出を支援する形で「さのう」を提供し、株式会社ポーラと株式会社ファーメンステーションが「さのう」からエキスを抽出しプロダクトの開発を進めました。東京工科大学では、松井教授がこのエキスの検証・分析を担当し、角層に対する効果を科学的に解明しました。
 株式会社ポーラの研究により、「さのう」エキスには不要な角層細胞を剥がれやすくする作用があることが明らかになりました。松井教授は、このエキスが角層に作用する仕組みを解明するため、三次元皮膚モデルを使用し、角層の美しさと健康を引き出す効果を検証しました。

【研究内容と結果】
 本学と株式会社ポーラは、ゆずのさのうエキスを用いた三次元皮膚モデルやヒト表皮での実験を通じ、以下の有効性を確認しました。
■デスモグレイン1(DSG1)量の減少
ゆずのさのうエキスを角層に添加すると、細胞接着因子であるデスモグレイン1の量が有意に減少し、角層内に自然な隙間が生じました。この結果、角層の柔軟性が向上し、健やかな皮膚バリア機能が維持される可能性が確認されました。

■角層の剥離促進効果
三次元皮膚モデルを用いた試験では、ゆずのさのうエキスが角層細胞間の接着を緩和し、自然な剥離を促進することで、角層がバスケットウィーブ状に構造化されることが分かりました。これにより、柔軟でしなやかな肌の状態を実現する可能性が示唆されています。

 本研究では、松井教授の指導のもと、本学大学院バイオニクス専攻修士課程2年の大港 実柚さんが中心となり、三次元皮膚モデルやヒト表皮を用いた実験を担当しました。この実験により、ゆずのさのうエキスの角層への効果が科学的に検証され、これらの成果が得られました。

 2024年11月15日に開催された株式会社ポーラの新製品発表会では、松井教授が本研究の成果について発表を行いました。

株式会社ポーラの新商品発表会 株式会社ポーラの新商品発表会

新製品発表会の様子


 また、この研究成果は2024年11月18日から20日に神戸国際会議場で開催された『第2回日本化粧品技術者会学術大会』において、大港さんが研究の口頭発表を行いました。

【発表論文】
論文タイトル:「未利用資源であるゆずの搾汁カスから抽出したエキスはヒト角層の剥離促進に関わる」
発表者:東京工科大学大学院バイオニクス専攻:大港実柚、松井 毅教授
株式会社ポーラ POLAイノベーションセンター:出川 朋美、多⽥ 明弘
論文URL:https://www.teu.ac.jp/information/TUT_POLA_EffectofCitrusJunosFruitExtractstothedesquamationofhumanstratumcorneum.pdf

 今後も東京工科大学は、社会的価値の創出と持続可能な未来を目指し、産官学連携を通じた研究を推進してまいります。



■株式会社ポーラ プレスリリース「第2回日本化粧品技術者会学術大会にて発表 ゆずの残さから抽出したエキスにデスモソームを減少させる研究成果を報告」:
https://www.pola.co.jp/about/news/20241111-01/index.html

■株式会社ポーラ プレスリリース「未利用資源から生まれたボディソープ『フロムロストゥービューティー ボディシャワーシロップ』誕生」:
https://www.pola.co.jp/about/news/20241115-01/index.html

■皮膚進化細胞生物学(松井 毅)研究室:
https://www.teu.ac.jp/info/lab/project/bio/dep.html?id=50