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コーオプ実習レポート(春期 メディア学部)

 
2024年4月8日掲出

 東京工科大学八王子キャンパスでは、すべての学部を対象として春期及び夏期休暇中の3週間のコーオプ実習をおこなっています。コーオプ実習とは、有給での企業実習です。
 今回、春期休暇中のコーオプ実習に参加したメディア学部の久保田大貴さんのレポートを紹介します。

コーオプ実習レポート

 今回、私が実習に参加した企業は株式会社GMKです。東京都港区白金台にオフィスがあり、都市開発事業のコンサルタントや建物の設計、工事の監理などを行っています。現在(2024年3月)は豊島区で行われている木密不燃化事業や共同化事業、道路事業に関わっており、持続可能な街づくりを目指しています。会社は小さく従業員数は22名ほどですが、仕事中に従業員同士で楽しく雑談を行うこともある雰囲気の良い企業です。

 都市開発などの街づくりの計画において住民たちが不安に思う要因には、街の将来像がはっきり見えない事が挙げられます。GMK社では、その不安を取り除くための手段の一つとして3DCGの活用を考えています。3DCGによって実際の計画を元に制作された立体物をつくり出し、事業後の街並みがどのように見えるかを住民の方々などに説明するには最適なものであるからです。 住民だけでなく、事業を行う人たちにとってもこのデータは役に立つものです。計画を立てたり図面を書いたりしていても、その結果街がどのようになるかを具体的に想像できる人はそう多くありません。計画の現状を確認したり、内容を見直したりするための判断材料とするには3Dデータは極めて有効なものであると言えます。

 今回の実習で私が取り組んだ業務は、Blender(3DCG作成ツール)を使用して事業後の街並みを3DCGで制作、再現するというものでした。ネット上で公開されている現在の街並みのデータを下地として、新たな開発計画の図面に描かれた道路や建物を3Dで再現し、追加していきました。それらの新設されるものだけでなく、視覚的に分かりやすくするために線路のハイライトなども行いました。 今回の業務ではBlenderを使用して3Dモデルの制作を行いました。モデルの制作の際には面の押し出しやパスからメッシュへの変換など造形に有用な知識やテクニックを多く用いました。造形だけでなくビジュアルに関する部分でも、色分けによってより見やすくなるように工夫しました。モデル制作に直接関係のない部分である視点操作でも、好きな場所に視点を移動する小技やカメラアングルなどの知識を用いて見やすく魅力的な画像制作を目指しました。

3DCGで再現された再開発計画によって建設された建物とその周りの街並み

図面を元に制作した道路の一部分


階層ごとに造形された建物の合成前のモデルと合成後の建物のモデル

線路の位置を示すための堤状のオブジェクト



 3Dモデルを制作して資料を作るにはいろいろな知識を利用しましたが、これらの知識の多くはCG制作の基礎やディジタル映像表現論など大学の講義から得たものです。それらの知識を持っておくだけでなく仕事に活用することで、自分の目指す成果を出すことができたと思います。  

 苦労したこともあります。3Dデータは基本的には図面をもとに制作しましたが、図面によっては記載されている情報が少なく、定規を当てて長さを出したりダウンロードしてきた元の街並みのデータと照らし合わせたりとモデルを制作するのに手間を要しました。 元の街並みのデータも不自然なことになっている部分が多くあり、それらの修正に手間がかかりました。不自然な部分があると、新しい建物や道路のモデルよりもそっちに目が行ってしまいます。それを避けるために事あるごとに元のデータを手直ししましたが、これに多くの時間を要してしまいました。  それでも、モデルを制作している過程ではその全体像がはっきりしないものが、完成に近づくにつれてその形が見えてくる様は作業していてとても楽しいものでした。図面の状態では平面の集合体であり、微妙な曲線や高低差などその立体像は想像しがたいのですが、3Dモデルとして完成するとその形がはっきり見えるようになることは大きな充実感を感じました。

 最終日には実習を行なった3週間分の成果をスライドにまとめて発表する機会がありました。その際にはそこにいたGMK社の皆さんから高い評価を得ることができてとても嬉しかったです。GMK社の皆さんも自分たちの計画や図面が立体となって可視化されていることに喜び、楽しんでいる様であり、こちらも制作した甲斐があったと心から思えました。 今回私が取り組んだ豊島区の再開発事業は2030年頃に完成する予定です。自分がCGとして可視化した街並みが実現していくことを楽しみにしつつ見守って行きたいと思います。