学生の自信にもつながる資格の取得を、学部をあげてサポートします!
応用生物学部 食品・化粧品専攻 食品コース 西野智彦 教授
東京工科大学では、革新的かつ実践的な教育活動の一環として、今年4月より各学部・学環における「戦略的教育プログラム」(第二期目)が始まっています。今回は、応用生物学部の取り組みについて、西野先生にお聞きしました。
■応用生物学部の戦略的教育プログラムについてお聞かせください。
応用生物学部では、戦略的教育プログラムとして「資格取得支援教育プログラム」を実施しています。文字通り、学生の資格取得を支援するというもので、サポート内容は第一期目の戦略的教育プログラム(2017年度~2020年度)と同様、本学部の学習に関連する指定資格の受験料の一部または全額の補助と、可能なものは学内で資格取得のための対策講習を開き、その参加費の一部または全額を負担するというものです。対象資格は、色彩検定、フードアナリスト、中級バイオ技術者、上級バイオ技術者、危険物取扱者 甲種・乙種、TOEIC、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)としています。また、資格取得の補助は、一人の学生につき1年に2資格まで受けられます。
今回の取り組みが第一期目と大きく異なる点は、対象資格の数を増やしたことと、主な対象学年を3年生から2年生へ下げたことです。まず、今回から新たに対象資格としたのが、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)です。本学の卒業生にヒアリングしたところ、バイオ系の会社でも就職後、マイクロソフトオフィスのWord、Excelは必須だと言います。また、オフィス勤務だけでなく、工場の業務でもExcelが使われていますし、研究所における使用試薬の量や危険物の管理にもExcelを使っています。実際、戦略的教育プログラムの対象になる以前に、MOSを取得した学生が数名いたのですが、彼らのWordで書いた卒業論文や卒業研究をまとめるPowerPointは非常に素晴らしかったです。このように、学内にいるうちから役立つわけですから、学生に取得を勧めても損はないだろうということで、今回、MOSを対象資格に加えました。
それから中級バイオ技術者に、上級バイオ技術者を加えました。これまでは中級バイオ技術者を3年生以上対象としていましたが、それを今回から2年生以上にし、上位資格である上級バイオ技術者を3年生以上対象としました。というのも、これまで中級バイオ技術者を3年生で受けると、今まで学んできた個別の科目のつながりがわかったという意見があったからです。また、今までわからなかった授業の内容がわかるようになったという声も聞いていました。そこで、授業の予習になる部分が少しあり、難しいかもしれないけれど2年生から挑戦できるようにしてみました。もし2年生で合格できなくても、次の3年生でも受けてくれたらと思っています。2年生にはチャレンジすることを期待しているのです。また、中級を取れた人は、さらに上の上級を目指してほしいと思っています。
同様の理由で、危険物取扱者も乙4種に加え、その上位資格である甲種を加えました。乙4種は1年生以上が対象で、甲種はそれ以上の学年を対象とします。過去に乙4種を取った学生で甲種も取りたいという人がいたので、できることなら甲種まで目指してもらおうと、今回から加えました。やはり上を目指す学生のことをサポートしたいですからね。甲種は難しいですが、その分、就職でも有利になるだろうと思います。
また、これまで通りの対象資格としては、フードアナリスト4級(3年生以上対象)、色彩検定2級・1級(2年生以上対象)があります。色彩検定に関しては、例年、対策講座を開いていたのですが、今期は講師の都合上、開けませんでした。今後、講師を担う人が見つかれば、また学内で対策講座を開きたいと考えています。また、カリキュラムの変更で対象資格ではなくなったものがあります。食品衛生責任者は第一期では対象にしていましたが、今期はありません。というのも、2018年度以降に1年次として入学し、食品コースで必要な科目を履修した学生は、食品衛生責任者の上位資格である食品衛生管理者及び食品衛生監視員の資格を取得できるカリキュラムになったからです。
TOEICに関しては、今期からは受けたい学生が受ける形になっています。基本的には、キャリアサポートセンターが実施する学内TOEIC IPでスコア450点以上(2、3年生対象)または、前年度の受験より50点以上高いスコアを取得した場合、担当教員に申告することで受験料を補助します。
■学部で資格取得をサポートすることに、どのような効果や狙いがあるのでしょうか?
資格取得は、その資格の知識を得られるだけでなく、学生の自信になる面が大きいです。特に今期から対象としたMOSは比較的取得しやすいので、資格取得の第一歩に適していると思います。実際、本年度にすでに取得した人が数名います。意外とすんなり取れたという印象で、自信になったという学生が多いです。受けてみたら合格したという小さな成功体験を積み重ねることは、自信になりますし、次のステップとして別の資格を取ろうとか、上位資格を目指そうと、自然と進んでいくことが期待されます。また、年度ごとに予算がついているので、年度が替われば、つまり学年がひとつ上がれば、上限2つまで資格の取得補助が受けられます。それこそ2年生から取り組めば、かなりの数の資格に挑戦できるので、学生にとっても良いのではないかと思います。
また、この資格取得を就職活動で活かすこともできるでしょう。エントリーシートや履歴書の資格欄に何か書けるということは、案外、大きなことです。 大抵の学生は3年生でいざ就職活動が始まるというときに、資格欄に何も書くことがないと焦り始めます。何も資格がないという状態よりは、書けるものがある方が心強いですし、面接でも落ち着いて話せるかもしれません。また、資格を取ったということは、学習習慣があることの裏付けにもなります。よく「履歴書に書いて、意味があるの?」と聞く学生がいますが、資格はないよりあった方が、それだけ勉強したというアピールになります。自分で勉強をしたということは、決してマイナスにはなりません。面接で資格取得の過程をアピールすることもできると思いますよ。
それと同時に勉学の面でもメリットがあります。大学で学んでいないことが資格取得には必要になるなど、極端な話、大学の授業で片手落ちの部分をカバーできるというメリットもあると思います。実践的な知識や、ややマニアックな知識が資格の教科書に掲載されているということはあります。逆に大学で学んだことがそのまま資格の勉強にも出てきたら、大学での学びは役に立つと実感できるかもしれません。
■今後の展望をお聞かせください。
今年の4月から始まったこのプログラムですが、早くもMOSやTOEICなど、合格した学生からの申請が来ています。TOEICに関しては、すでに3名の学生が申請し、そのうちの一人は1年生ながら750点も取りました。実はこの結果は、今後の課題になっています。というのもTOEICは毎年受けて、スコアを更新してもらいたいので、現行の規定では前年度の点数よりプラス50点で補助を出すことにしています。しかし、750点という高得点を得た次のテストで、プラス50点を上回ることは450点から上回ることより難しいです。ですからこれに関しては、上げ幅を再検討しなければなりません。例えば、700点以上のスコアを得た人は、次の試験で25点アップしたら申請できる、あるいは700点という高得点を維持したら、点数が上がらなくても補助するとしてもよいかもしれません。これまでも年度ごとに見直して、内容を少しずつ切り替えてきたので、今回も学生の声を聞きつつ現状に即した形で、年度ごとに適宜、変更していくつもりです。
展望としては、学生が割と難易度の低い資格に挑戦して取得することで、周りの学生に自分も取ってみようと考える刺激になってくれることが理想です。それによって、学生たちの自信につながれば、うれしい限りです。そういうことが、このプログラムをきっかけに起きてほしいですね。
また、このプログラムの参加者数を増やしたいということは当然ですが、参加する学生がより上級の資格に挑戦してくれることも望んでいます。上級バイオ技術者と危険物取扱者の甲種は難しいので、今後、取得する学生がたくさん出てくることを期待しています。
■最後に受験生・高校生へのメッセージをお願いします。
資格は、多くの人が欲しいと思うものですよね。ですから時間に余裕のある大学生の間に、挑戦してみてください。思っている以上にスムーズに取得できるものもありますし、就職活動や卒業後だけでなく、在学中に役立つものもあります。東京工科大学の応用生物学部では、今日、お話ししたように受験料や受講料のサポートをしているので、ぜひうまく活用してください。
■応用生物学部WEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/bionics/index.html