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国際交流の拠点!「国際交流センター(NEXT)」始動!

 
2024年4月12日掲出

教養学環 勝浦 寿美 教授

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2024年4月、東京工科大学に「国際交流センター(通称NEXT)」が設立されました。大学全体における国際交流活動の円滑な運営を目的に、さまざまな取り組みが始まっています。今回は、同センターのセンター長を務める勝浦先生にその詳細を伺いました。

■2024年4月から始動している「国際交流センター(通称NEXT)」について教えてください。

 本学では、この4月からさまざまな研究センターが新設され、活動を始めています。その内のひとつに、国際基準の教養と語学力、社会人基礎力を育むための教育組織“教養学環”内に設立された「リベラルアーツセンター(通称BASE)」があります。そこには「国際交流センター」(以下、NEXT)のほか「地域連携センター(通称TALE)」、「数理データサイエンスAI教育センター(通称MATRICES)」があり、それぞれ活動を開始しています。

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 NEXTは、国際交流の円滑な運営を目的に設けられたセンターです。これまで教養学環で活動していた海外プログラムワーキンググループもこの中に入り、引き続き教養学環が主催する海外プログラムの企画運営や実施を担いますが、NEXTには他学部の先生方もメンバーに入っていただいているので、教養学環だけではなく、本学全体の国際交流活動を円滑に進めるように活動していきたいと考えています。というのも現在の本学における国際交流は、どちらかというと学部単位で取り組んでいて、大学全体でどのような活動を行っているのかが俯瞰して見えない状態にありますので、そこを改善し、全学的な国際交流活動として打ち出せるようにしようというのが、今回のNEXT設立の目的のひとつです。

■現時点で決まっているNEXTの活動には、どのようなものがありますか?

 活動自体は、2024年度から少しずつ始まっています。NEXT第一弾のプログラムとして、「登別English Camp」を実施することになりました。北海道の登別に片柳学園の日本工学院北海道専門学校がありますので、そこの教室と学生寮を活用して、今夏、1週間ほどのEnglish Campを実施します。定員20人で、5日間英語漬けの日々を送るという内容です。
  ※「登別English Camp」は、まもなく学生ポータルサイトで募集を開始します。

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日本工学院北海道専門学校(登別)


 海外プログラムももっと開拓したいのですが、今は物価高や円安の影響もあり、たとえばアメリカへ行く研修費用は非常に高額になっています。それならば国内で英語の勉強ができないかということで、「登別English Camp」が企画されました。
 学生は現地集合・現地解散ですので、自分の好きな方法で登別まで来ることができます。例えば電車を乗り継いで来てもよいし、東京からフェリーで来る人もいるかもしれません。English Campの前後に友達との旅行を組み込むなど、色々なプランが立てられると思います。

 それから昨年末、本学はUMAP(University Mobility in Asia and the Pacific:アジア太平洋大学交流機構)というアジア太平洋地域の学生・教職員の交流促進を目的に発足したコンソーシアムに参加しました。これに参加する大学は、「UMAP学生交換協定」に基づいて、交換留学生の受け入れ、送り出しを行うことができます。例えば、UMAPに加盟している大学から本学に留学したいという学生がいれば、状況に応じて引き受けますし、本学の学生がUMAP加盟の大学に留学したいときには引き受けてもらえるという協定です。UMAPに参加することで、学生の留学先の選択肢が拡大するほか、海外の大学との国際交流の増加が期待できます。

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 すでに中国の大学から本学に留学したいという問い合わせが来ていますし、カナダのRoyal Roads Universityから夏のリーダーシッププログラムの案内が来たりしています。
 NEXTでは、そういう海外大学プログラムへの対応、また留学生からの問い合わせへの対応などを、国際委員会の協力を仰ぎながら行っていきます。この間も先ほどのRoyal Roads Universityのプログラムを学生ポータルでアナウンスしたところ、複数の学生から興味があると連絡が来ました。それもUMAPに参加したことから動き出した国際交流の一環です。

 また、本学は昨年夏にUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)と提携を結びました。そのUCLAが今夏、サマーセッションのプログラムを開催します。これはいわゆる語学研修とは違い、UCLAの授業を受け、単位を取るという6週間のハードなプログラムです。このサマーセッションの情報も学生にアナウンスしたところ、すぐに複数の学生から問い合わせがありました。このプログラムは現地までの交通費や生活費は自己負担ですが、授業料は本学が負担します。予算の都合上、参加できるのは2名になっています。すでに申込を完了した1名はTOEICで高得点を取っている学生ですが、UCLAの単位を無事に取得できた暁には、所属学部の単位として認定される予定です。

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 MIT(マサチューセッツ工科大学)やCMU(カーネギーメロン大学)とも協力関係にあるので、そうした大学との交流プログラムについても考えていますし、将来的にはさらに活発な交流を実施したいと考えています。MITに関しては、同大学の教授が5月に八王子キャンパスで講演会を開く予定になっています。また今、CMUの担当者と今後の活動について連絡を取り合っています。話が進めば、何か新しいプログラムが生まれるかもしれません。
 こうした海外の一流大学との交流は、学長の「一流に触れないといけない」という方針から、積極的に進めていく予定です。一流の大学、一流の研究に触れることで、学生は貴重な経験ができますし、これまでにない刺激を受けることができます。

 また、海外大学が提供しているオンラインあるいはオンデマンドの授業の導入についても調査を始めました。今は大学のキャンパスに通って学ぶというスタイルが当たり前ですが、将来は既存のキャンパスに囚われない学び方が主流になるかもしれないと学長は言われています。例えば、ある企業に就職したい場合、その企業が指定している大学の指定の講座を取ることが必要になるかもしれないということです。つまり、Aという企業に就職したい場合、○○大学卒業ということより、Aという企業が指定する××大学の○○教授の○○という授業の単位、△△大学の××教授の○○学の単位など、そういう単位の取り方が必須になるかもしれないということです。そういう未来のカタチに少しずつ備えておく必要があるという学長のご意見から、NEXTではオンライン・オンデマンド授業のプラットフォームについて調査を開始しています。
 例えば、ハーバード大学とMITが共同で創立した「edX」、スタンフォード大学の教授が設立したCoursera、MITが設立した「MIT Open Course Ware」、MIT、Yale、UCI などの海外大学の講義や学習コンテンツを日本語字幕または英語字幕つきで無料で視聴できる「Asuka Academy」など、さまざまなプラットフォームがあります。現状、どれが本学に適しているのかわからないため、関係者に話を聞いたり論文を読んだりしながら、どのプラットフォームを使うかということを検討しています。また、本学が検討を進めているバーチャルキャンパスの中で、オンライン授業として単位を取得できるようにするといった将来的な構想も含めて考えています。

■NEXTの設立・始動で、学生の反応や国際交流に関して、これまでとの変化は感じますか?

 UMAPやUCLAのプログラムに対する学生の反応を見ると、そういうニーズがあったのだということが改めてわかりました。近年はコロナの影響もあったかもしれませんが、海外プログラムを学生にアナウンスしても、参加者が集まらず、プログラムを催行できないことがあったりしたので、海外に興味のある人が少なくなってきたのだろうかと思っていました。確かに海外に興味のある人は以前よりは減っているのかもしれませんが、個人ベースでは実は海外に興味があって海外で自分を試したい、海外の大学の授業を聞いてみたいと希望する学生がいるのだということを知ることができました。今まで潜在的にあった学生の希望に応えられていなかった部分を、NEXTがうまくサポートしていければと思っています。
 また、学長が言われるように、英語は苦手だけど大学の海外研修に参加してみようという学生だけでなく、英語が得意でもっと学びたいという学生も伸ばしてあげなければいけないのではないかと。そういう意味で、今回のUMAPやUCLAのプログラムは、そうした学生の役に立つのではないかと思います。

 一方で、これまでと変わらないものもあります。国際交流にはある程度の英語力が必要ですが、実は英語力よりも大事なのはコミュニケーション能力。人と話したいという気持ちが大事です。英語力があるのに、外国人に話しかけることが苦手な人もいますし、逆に英語力があまり高くないのに、持ち前のコミュニケーションスキルで、「なんかよくわからなかったけど、英語で会話できた」と語る学生もいます。私はそういうコミュニケーションの力がとても重要だと思っています。英語力とともに、そういう力を伸ばしてほしいという私たちの思いは、これまでもこれからも変わりません。登別のプログラムでも海外でのプログラムでも、英語力以外の部分も伸ばしてほしいと思っています。どの学生も、グローバルな視点や考え方を身につけられる機会をできるだけ多く提供したいと思っているのです。

■NEXTの活動は始まったばかりです。今後、どのような展望をお持ちですか?

 本学の国際交流がもっと活発になって、蒲田や八王子のキャンパス内を外国人が普通に歩いている、そういう光景が実現できたら素晴らしいと思います。NEXTが留学生のビザなどの手続きや、日本で生活する上での細々としたサポートも引き受けられたらと思っています。また、公的資金の援助を受けるための申請、留学支援金の申請など、業務は多種多様にわたります。NEXTという組織を通して、留学に行くのも受け入れるのも活発になり、それが当たり前になるというのが理想ですね。
 キャンパスに留学生がたくさんいれば、そこで学生同士の国際交流も生まれますし、本学の学生が海外を目指すきっかけになるかもしれません。その役割をNEXTというセンターが担えるとよいなと思っています。

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DTCでの留学生との交流の様子


■最後に受験生・高校生へのメッセージをお願いします。

 これからみなさんはどの大学を目指すのか、進路を決めていく時期に入ります。そのとき、どうか偏差値に振り回されないようにしてください。例えば、偏差値40とされている大学はそのレベルの講義しか提供されていない、逆に偏差値60の大学では高度な授業が提供されているというイメージを持つ人が少なくないと思いますが、そんなことはありません。自分の偏差値がこのくらいだから、この偏差値帯の大学の中から選ぶということではなく、どんな教授陣がいてどんな授業や活動を提供されているのかを、しっかり大学案内やホームページで確認して、自分が本当に学びたいと思う大学を選んでください。
 また、今は日本国内にいてもグローバルであることが当たり前の時代です。東京工科大学は、グローバル人材としてのスキルを学ぶことができる大学です。それぞれの専門を学び、さらに英語やコミュニケーション能力、プレゼンテーションスキルといったグローバルな素養やマインドを身に付けたいという方に本学は最適な大学だと思います。英語はあくまでツールですので、英語ができる・できないに関わらず、様々なプログラムに参加して、グローバルな経験を増やし、日本で、そして世界で活躍できる人材に成長してください。